天然那智黒石 猫印硯工房
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硯ができるまで

 原石の採取に始まる 硯作りの工程をご覧ください。






1.ショベルカーなどを使って山から掘り出された
原石は、持ち運びのできる大きさに割られます。
この工程は採石のプロの手で行われます。

(写真は神川町・田野那智黒碁石店様の採石場)


田野さんはその名のとおり、主に碁石の黒石の

加工を生業とされています。 

硯に使う原石は、ある程度大きくなければならず、

その採石作業は大変困難です。









2.鏨(たがね)とハンマー、ダイヤモンド
カッターなどを使って、形を大まかに
整えます。
たまたま面白い形に割れれば、それを
生かした面白い硯ができます。 
はじめから狙った形にするべく、
慎重に整えてゆく場合もあります。





3.旋盤で、まず底(裏)になる面を

平らに整えます。

次に硯の海(うみ・磨った墨がたまる

部分)・陸(おか・墨を磨る部分)を

粗彫りします。

回転盤に石を固定して、垂直に突き立った

刃を石の中央から外側へと移動させながら

丸く削ってゆきます。







4.工具を使って海や陸の形をバランス
良く整えた後、手彫り仕上げです。
硯の大きさ・彫る部分によって、形や
太さの異なる鑿(のみ)を使い分けます。

鑿の持ち方には、肩押しと掌押しの
二通りがあります。 産地によって
違うようですが、私は併用しています。
信州の師匠と神川の師匠に敬意を表して
・・・という気持ちもありますし、
慣れもあります。



5.人造砥石や耐水サンドペーパーで、
段階的に傷を取り、なめらかにして
ゆきます。 白っぽい灰色だった石色が、
やわらかな黒に変わります。
見た目の美しさ・なめらかさもさること
ながら、磨り心地の良い、真っ平らな
陸にすることに最も神経を使う、時間の
かかる作業です 。 
陸の仕上げには天然砥石を使用。 
ほぼ磨きあがった段階で、実際に墨を
磨ってみて、陸の感触を確かめます。











6.洗浄・乾燥後、周囲に無色透明の
つや出しを施して、完成です。 
同じように磨いて、同じ つや出しを施しても、
石によって、つやの出方には差ができます。 
個人的には、ごく控えめな、やわらかい感じの
つやが好きです。 お好みは人それぞれで 
「ピカピカするくらいじゃないと那智黒石じゃ
ない!」と仰る方もあり、それもわかるような
気がします。
お化粧であると同時に、石の、とくに断面の
保護のため、また手脂などによる汚れを防ぐ
ために、必要な作業です。   



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